Monday, April 21, 2014

いただきもの(2014年1月‐4月)

ここ数か月のあいだに、以下の5冊のご高著をご恵投いただきました。お送りいただいた先生方にお礼を申し上げますとともに、ここでささやかながら宣伝させていただきます。

ジャン・ルフラン『十九世紀フランス哲学』、川口茂雄監修、長谷川琢哉、根無一行(ねむ・かずゆき)訳、白水社、文庫クセジュ、2014年4月。

私はすでにフランス語で読んでいたのですが、19世紀フランス哲学研究のさらなる活性化と発展のためには、是非とも訳されるべき貴重な本だと思っていたので、川口さんというこれ以上ない適役を得て翻訳されたことは喜ばしい限りです。彼の切れ味鋭く、洒脱さも忘れないあとがきも必読。

岩手大学人文社会科学部フランス文学研究室・中里まき子編『トラウマと喪を語る文学』、朝日出版社、2014年2月。

力作ぞろいの論文の内容もさることながら、このような一連のシンポをオーガナイズし、出版社に話をつけて、論集化するまでに至る中里さんの卓抜な企画力とそれを実現させる驚異的なエネルギーに感服しています。

合田正人編『顔とその彼方――レヴィナス『全体性と無限』のプリズム』、知泉書館、2014年2月。

合田先生があとがきでお書きになっている通り、海外の一線級の研究者と国内の俊英たちの見事な対決の場になりえていますね。ベルクソン研究者として、自らの非力を反省するばかりですが、自分なりに前進していければと思っております。

ジャン・ナベール『悪についての試論』、杉村靖彦訳、2014年2月。
華やかな現代思想との対決や、京都学派再考など、本当に幅広くお仕事をされている中で、このフランス反省哲学の伝統を日本に導入するという作業もまた、杉村先生以外に適任の方が見つからないという難業の一つではないでしょうか。

古賀徹『理性の暴力――日本社会の病理学』、青灯社、叢書:魂の脱植民地化5、2014年1月。
古賀さんは現代日本のアドルノと言ってよい方だと常々思っております。アドルノを語るアドルノ学者は何人もいますが、鋭敏な批判意識、繊細さと過激さを稀有な仕方で兼ね備えた魂という点までアドルノをこれほど地のままに“生きる”人は他にいないのではないでしょうか。ぜひ一人でも多くの方に知られてほしい著作です。

Saturday, April 19, 2014

4/20 シンポジウム「いま、大学の自治を問う ―京大での総長選廃止の動きと大学「改革」― 」

遅くなって申し訳ありませんが、ぜひ

2014/04/08

4.20シンポジウム「いま、大学の自治を問う ―京大での総長選廃止の動きと大学「改革」― 」のご案内

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4.20シンポジウム 「いま、大学の自治を問う」

ー京大での総長選挙廃止の動きと大学「改革」ー


日 時:2014年4月20日(日) 13:00〜15:30

会 場:京都大学 法経本館 法経第7番教室
プログラム:
    司 会:池田 豊 (ねっとわーく京都)

    開会挨拶:「京大総長選挙をめぐる局面と私たちのとりくみ」
         高山佳奈子
          (京大職組副委員長/京都大学法学研究科 教授)
         
    報告(1) :中教審大学分科会「大学のガバナンス改革の推進について(審議まとめ)
         (2014.2.12)をめぐって
         報告者:西牟田 祐二
          (京大職組委員長/京都大学経済学研究科 教授)

    報告(2) :経済同友会提言「私立大学におけるガバナンス改革」(2012.3.26)をめぐって
         報告者:鈴木 眞澄
          (日本私大教連 副委員長/京滋私大教連 副委員長/龍谷大学法学部教授)

    報告(3) :国立大学における安倍内閣大学改革の特徴と全大教のとりくみについて
         報告者:中嶋 哲彦
          (全大教 委員長/名古屋大学教育発達科学研究科 教授)

    パネルディスカッション
     パネリスト:中嶋 哲彦/鈴木 眞澄/西牟田 祐二

    閉会挨拶:石倉 康次(京滋私大教連 委員長/立命館大学産業社会学部 教授)

主 催:京都大学職員組合/京滋地区私立大学教職員組合連合 
後 援:全国大学高専教職員組合日本私立大学教職員組合連合
協 賛:高等教育研究会日本科学者会議 京都支部京都総評/左京地区労/全大教近畿/
    京都府公立大学法人労働組合

Monday, April 14, 2014

【クリップ】リクナビ「エントリーあおり」の実態とは?

画像
リクナビ「エントリーあおり」の実態とは?
 日本最大の新卒向け就職活動サイト「リクナビ」が揺れている。就活生に、大量の企業に「エントリー」するよう勧める機能が露骨で、「エントリーあおり」だと批判を集めているのだ。

 2015年卒生向けの「リクナビ2015」では、数十~100社もの企業に一括エントリーできる「まとめてエントリー」ボタンを随所に配置。「内定獲得した先輩はもっとエントリーしています」とグラフを見せ、さらにエントリーを増やすよう促すなど、過剰なまでにエントリーを推奨している。

 この“エントリーあおり”に、就活生もあきれ顔。ドワンゴの川上量生会長が「企業も学生も疲弊する」と名指しで批判するなど、新卒を採用する企業からの批判も起きている。

 リクナビでエントリーを“あおる”背景には、何があるのか。運営するリクルートキャリアや、就活生、関係者への取材から探った。

■ エントリーは「申し込み」ではなく「資料請求」

 前提として、「エントリー」の意味を確認しておこう。リクナビで言う「エントリー」は「資料請求」の意味であり、応募(エントリーシートの提出)ではない。これが混同され、一部で的外れな批判が起きている側面はある。(…)

 リクルートキャリアの調査によると、2014年卒就活生のエントリー数の平均は60.1社、応募数は20.1社と、実際の応募数はエントリー数の3分の1程度にとどまっている。
■ 「100社一括エントリー」「内定獲得した先輩に追いつく! 」

 “エントリーあおり”の実態を調査するため、3月末にリクナビ2015に登録してみたところ、その一括エントリー推しの勢いに驚いた。「まとめてエントリー」ボタンが、あらゆるメニューに設置されているのだ。(…)

 この画面をやり過ごし、リクナビトップページを表示してもなお、一括エントリーボタンはさまざまな場所で待ち構えている。たとえば、「あなたの行動・志向にあわせておすすめ100社をピックアップ」というメニューや、「あなたの同期が直近エントリーした企業一覧」「あなた向けのもれなくエントリーしておきたい企業特集」などで、それぞれ、100社前後に「まとめてエントリー」できるボタンが大きく配置されている。

 しかし、まだ氏名と学校名しか登録していない段階で、「行動・志向にあわせた」お勧め100社が表示されるには驚いた。いったい、どんな行動・志向を見ているのだろうか……。
(…)

■ 人事担当者の評価に響く「エントリー数」

 「多くの企業を研究してほしい」と言っても、一度に100社にエントリーできる機能を乱立させるのはやり過ぎではないだろうか。市場環境とリクナビのビジネスモデルを照らし合わせると、リクナビがエントリーを“あおらざるをえない”状況も見えてくる。

 リクナビは、新卒採用企業から情報掲載料を受け取って収益を上げている。掲載費は基本料金だけで120万円。オプションを加えると200万~300万円と、費用は天井知らずだ。大金をかけて求人広告を掲載する企業は、多くの就活生に自社の採用情報を見てもらい、エントリーしてもらうことを期待する。エントリー数を保証したり、エントリーごとに課金しているわけでないが、エントリー数はリクナビの“商品力”を左右する重要なファクターだ。

実際、企業の採用担当者向けのPRサイトには、「100人規模のわが社に1089人からのエントリー。驚きました」「リクナビの確かな実績でエントリー数最大化」など、リクナビを使えばいかにエントリー数を稼げるかを強調。岡崎所長も、「(エントリーの)母集団を集めたいというニーズが企業側にあることは確か。母集団が集まらない企業に、学生の視野を広げて向かせたいという思いはある」と認める。

 だが、今の市場環境で、学生のエントリー数を稼ぐのは簡単ではない。景気回復の影響もあり、ナビサイトへの登録社数は激増(「リクナビ2015」の2013年12月時点の登録社数は前年比26%増、「マイナビ2015」は前年比53%増)。1社当たりの採用予定数も増えている一方で、少子化の影響で新卒の学生数は横ばいから微減にとどまる。つまり、学生1人当たりのエントリー数を急拡大させないかぎり、1社当たりのエントリー数を横ばいに持ってくることすらできない。

 新卒者という供給は拡大しないのに、需要が激増するという市場環境の中、リクナビが登録企業に対し、エントリー数という「掲載効果」を返すには、学生に大量にエントリーさせる「一括エントリー」を強調する必要があったのでは――そんなふうにも考えられる。

 採用活動を行う人事担当者の社内評価が、エントリー数の多寡で決まるケースも少なくないという。本来は、採用した人材の働きぶりで評価するべきだが、結果が出るまで数年かかり、評価基準も難しい。一方で、エントリー数なら短期で結果が出、数字というわかりやすい指標で評価できるため。「エントリー数で判断して褒められる、出世するという構造があるかぎり、今後も事態は変わらないのでは」と、関係者は打ち明ける。

■ 就活サイトを使うのは「負け組」? 

 ここ数年は、就活生・企業とも“就活ナビ離れ”が進んでいるといわれる。就活生のリクナビ登録率は例年100%に近く、下がってはいないのだが、その依存度は低下しているようだ。

 今回、筆者が話を聞いた2012~14年卒生7人のうち5人が、「そもそもリクナビをほとんど使わなかった」と話していた。リクナビ経由でないと応募できない企業があるため、登録はするものの、就職先選びには使わなかったという。

 彼らの就活ルートは、(1)大手や知っている企業だけを受ける、(2)アルバイト先のWeb企業などにそのまま就職、(3)先輩や同級生が受けた企業を受けた、(4)インターン先の企業にそのまま内定した――など。資料請求してエントリーし、面接を受ける――という“普通の就活”の枠から離れた採用形態が増えているようだ。

 「本当に優秀な学生は就活サイトを使わずに、夏季インターンなどで青田買いされたり、学生時代のイベントなどでヘッドハンティングされていました。そうした事例をみていたので、就活サイト経由で就活する時点で、ある種“負け組”感があると思っていました」(13年卒・男)。

 この傾向は、企業の就活ナビ離れの裏返しでもある。ただでさえ万単位のエントリーが届く人気企業は、就活ナビサイトを利用すると、さらにエントリーが増えてさばききれなくなったり、志望度の低い学生に応募されるなどデメリットが大きい。このため、自社サイトのみの採用に切り替えるなど、ナビサイトに頼らない採用手法にシフトしている。
 ドワンゴもそんな企業のひとつだ。就活サイトからの一括エントリーなどでひとりの学生が数多くの企業の採用試験を受けられる状況の中、「採用の手間ばかりが増えて、本当に必要な人材を見極める十分な時間をかけることが難しい」とし、志望者を絞り込むために2525円の受験料を徴収するなど、新しい採用の形にチャレンジしている。

■ 揺らぐ「就活サイトナンバーワン」

 学生を“指名買い”できるのは、都内を中心とした大手企業やトップ企業に限られており、都内の企業のインターンやアルバイトに参加できるのも、都内近郊の学生に限られるという側面もある。筆者が話を聞いたうち、「リクナビをほとんど使っていなかった」と答えたのは、都内の有名大学を出て、都内で就職した人だった。(…)

 就活ナビサイトのあり方そのものが問われている中、リクナビは2015年版で初めて、ライバルのマイナビに掲載企業数で抜かれ、“就活サイトナンバーワン”の座も揺らぎつつある。安易なエントリー数稼ぎに走らず、就活を本当の意味で支援するサイトになれるか――あらためてその姿勢が問われている。
 (※一部機能について記述に不正確な点があったため、該当箇所を一部修正、削除いたしました。)

Thursday, April 10, 2014

【緊急】大学の自治を否定する学校教育法改正に反対する緊急アピール・賛同署名

一橋大学の大河内さんよりご教示いただきました。

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2月に文科省が教授会の権限を制限する学校教育法の改正案を用意しているとの報道がありました。その後実際に法案はまだ出てきていませんが、今国会での成立を目指しているようです。
この間仲間と声明案を用意しており、そろそろみなさんにお見せしようかと思っていたところ、内田樹さんたちが同趣旨のアピールを出し賛同人を集めているのを知りました。当面こちらを応援しようかと思っていますので、賛同いただける方は是非署名いただき、また情報を拡散していただければと思います。

http://hp47.webnode.jp/

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私の周囲でもずいぶんときな臭い雰囲気が漂っております。現状に対しては、理論的な戦いを続けていかなければならないと思っています。たとえそれが蟷螂の斧にすぎないとしても。このあいだの《日本の大学、このごろ焦っていませんか?》シンポの記録が、たとえばその一例です。

皆様におかれましても、ご賛同いただける方はぜひご署名いただければ幸いです。

Tuesday, April 01, 2014

CFP:5/30フランスにおけるハイデガー読解のアトリエ@トゥールーズ大

エラスムスが開幕します。今日盛大なオープニングセレモニーがあるはずですが、毎年同じ日に本務校で行事があり、一度も参加できていません…。来年はぜひ!

さて、エラスムス一期生の長坂真澄さんより告知のお願いをいただきましたので、告知します。

(先ほどURLが間違っていたようなので、訂正版をお送りいただきました。)
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Call for papers の告知をしていただきたく、メールさせていただいています。
5月30日に、ERRaPhiS で、トゥールーズでフランスにおけるハイデガー読解のアトリエをします。
以下のサイトに詳細があります。

ディディエ・フランクさんも発表に来てくださる予定です。
どうぞよろしくお願いします。

連載第11回

今月も何とかギリギリ間に合わせました。どげんかせんといかん…。