Monday, April 30, 2012

読書リスト(震災後を生きる)


散歩の時間、大学の時間、哲学の時間

大学で過ごす時間の中でしか培えないものがある――回り道の時間、散歩の時間、パサージュの時間、媒介の時間、遅れの時間。そういったものを守り、将来に引き継いでいくのは、私たち大人の務めであり、国家や社会の務めである。

哲学そのものの中に回り道、散歩、パサージュ、媒介、遅れを許容するのでなければならない。なぜなら哲学とはつまるところ、回り道、散歩、パサージュ、媒介、遅れであるからだ。





読書リスト



Sunday, April 29, 2012

哲学とラジオ

哲学とラジオってほんとは相性いいはずなんだけどな。日本にはないな、こういう深夜番組。深夜1時から明け方6時まで、バルバラ・カッサンのインタヴュー&彼女のチョイスで過去のアーカイブからいろんな音源を流す。ジャクリーヌ・ド・ロミリーやニコル・ロロー、デリダ、グラネル、コスタス・アクセロスの話を聴く。いいよね。

ちなみに、読んでないけど、ラカンを「ソフィスト」と定義する彼女の新刊、決して単なる否定ではないだろう。

la Nuit rêvée de... Barbara Cassin

29.04.2012 - 01:00
Barbara Cassin est antiquisante, spécialiste de la Grèce antique... Mais pas de n'importe quelle antiquité : celle des sophistes, qu'on ne connait que par leurs ennemis... Les sophistes, ce sont ceux qui pensent qu'on fait quelque chose quand on parle... Ainsi Barbara Cassin vient-elle de consacrer un livre à Lacan "Jacques le Sophiste"... Car la psychanalyse est un geste en parole... Elle a choisit de nous faire entendre des femmes héllénistes (rares dans ce milieu très masculin) : Jacqueline de Romilly ou Nicole Loraux, mais aussi Derrida, qui retraduit une phrase d'Aristote sur l'amitié... Mais c'est avec une archive sur Heidegger qu'elle ouvre la seconde partie de sa nuit... Heidegger qu'elle a connu, jeune fille, chez René Char... Et une belle lecture de Sophocle pour conclure... Rien de plus modernes que les anciens grecs puisqu'ils nous permettent de penser le présent dans sa plus brulante actualité : telle est le message que fait passer cette femme aussi charmante que savante.

*

    01:00   LA NUIT RÊVÉE DE... BARBARIN CASSIN
Entretien avec Barbara Cassin – 1/3
   par Christine Goémé

    01:25:30   CULTURE FRANCAISE
La Grèce antique
   La guerre du Péloponnèse, par Thucydide
1ère diffusion : 3/3/52

    01:35:30   MISE AU POINT
La démocratie à l'épreuve de l'étranger
   par Eliane Contini
1ère diffusion : 12/12/91

    01:50:30   DU JOUR AU LENDEMAIN
Jacques Derrida
1ère diffusion : 28/12/94


    02:35:30   CONNAISSANCE DE L'HOMME
Les sophistes, nos contemporains
   par Jacques-Roland de Renneville
1ère diffusion : 9/3/66

    03:00:30   Entretien avec Barbarin Cassin – 2/3
par Christine Goémé

    03:22:45   HOMMAGE À...
Heidegger, pour ses 75 ans
   par René Farabet
1ère diffusion : 25/9/64

    04:32:45   LECTURE À UNE VOIX
Antigone, de Sophocle
   par Michel Polac
1ère diffusion : 11/10/64

    06:17:45   Entretien avec Barbara Cassin – 3/3
par Chistine Goémé

Saturday, April 28, 2012

エロスの詩、詩のエロス

Eros émerveillé En plateau cet après-midi, le poète Zeno Bianu qui publie Eros émerveillé, Anthologie de la poésie érotique française (Poésie/Gallimard). La poésie s’invite dans le boudoir. Tourner les pages et piocher au hasard dans ce que cinq siècles de littérature peuvent offrir d’érotique.  Est-ce là un champ particulier ou le cœur simple de la poésie ? Le point précis décrit par Paul Valery,  et ...

Friday, April 27, 2012

談志的大学論

予めご注意申し上げておきますが、以下の談志の発言は過激です(小学館CDつきマガジン『落語 昭和の名人 大トリ 談志』からの抜粋。およそ8分18秒-13分16秒まで)。

彼の発言をどう受け取るにせよ、解釈する際には、談志自身は高校中退であり決して「上から目線」の「エリート主義」的発言をしようとはしていないこと――そのようなことはちゃんと読めば一目瞭然ですが、ちゃんと読まずに「批判」される方々もおられますので申し添えます――、また、昭和43年にラジオで放送されたという時代状況を十二分にご勘案ください。

逆に言えば、この発言は昭和43年にはラジオで流れえたわけです。はたして私たちはあの時より「自由」になったのでしょうか。

トマス・モア『ユートピア』、エラスムス『智愚神礼讃』やラブレー『ガルガンチュア』『パンタグリュエル』に通じる風刺精神が理解できない方は、おそらく読んでも真意を理解できない可能性大です。そのような方ははじめから読まれないことをお勧めしておきます。

全入時代が迫り、成績のいい学生を「スカラシップ制度」で奨学金を与えて確保しようとしている現在の大学を言い当てていた――そう読むことも可能でしょう。

***

〔中江藤樹を例に〕「なんとか親に迷惑かけませんから勉強させてくれ」とこう言ったんだ。違うねえ、昔の子どもは。「学問したいから」というんだよ。今違うよ。「みんな行くから、しょうがねえから行く」っていうやつだからね。大体学校行ってないと、あの年代どうしていいか分かんないだろ、あの大学生ってのは。もし大学がなかったらあの年代どうするんだろ。どうにもしょうがないよ。あるから、あれでおさまってるようなもんのね。早稲田なんか入ったって、周りはあれ全部マージャン屋じゃないの、どうでもいいけど。本屋やったら本屋が潰れちゃったって話があるけどね。これはまあ嘘かもしんないけどさ。

だいたい大学ってのはエリートをつくりに行くとこだからね。そうだろ。大学ってのが最初に出来たんだから。その次に小学校が出来たんだよ。小学校が出来て、中学が出来て、大学が出来たんじゃないんだ。最初、大学が出来たんだから。小学校の歴史なんてのは、あれ、7,80年だからね。大学はなぜ出来たかっていうと、人間のエリートをこさえるために出来たわけだよ、大学ってえのは。つまり、大きくなったら、政治家になり、やがて科学者になり、エリートをつくったとこだよ、大学ってえのは。小学校は違うんだからな。だんだん労働力が必要になってきたから、つまり一般の奴にも少し教えねえとしょうがねえだろ。車の運転の仕方も分からねえしさ。つまり、あの、汲み取り屋の汲み取りのやり方も分からねえといけないから。それで、教えるために小学校が出来たんだから。

ねえ、エリートがエリートじゃないんだ、今。「みんな行くからおれも行く」じゃ何にもなりゃしねえ。ひどいことになるよなあ。東大の学生がこないだ「卒業式が出来なくなって、心残りで寂しい」つってやんの。ひでえもんだねえ。「卒業が出来なくなって残念だ」ってんならいいよ。卒業「式」が出来なくなって残念だってんだからね。そりゃ、おっかあがてめえの子どもの式の晴れ姿が見られないで残念ってのとは話が違うんだよ。そういうようなことを言う学生が近頃いるから、ひどいもんだ。 

こないだもね、学校の先生がね、生徒を裏口から入学さしてね、それが見っかっちゃったんだね。税務署かなんかに。ほれでまあ、みんな怒ってた。「学校の先生にあるまじき行為だ」なんて。いいじゃねえか、そんなこと言ったって。日大だって、いいじゃねえか別に、なんかやったって。大きなお世話だ。周りが騒いでんだよ。

じゃあ、先生がなんか仕事して金もらっちゃいけないかってことだ。「すいませんが、この仕事お願いします」って言うと、「ええ、やりますけど、いくらくれます?」って、これをビジネスライクとかなんとか言うんだろ。ね、むしろ言わないと気味が悪いよ。「仕事やってくれますか?」「ええ、やります」「お礼はどのくらい差し上げたらいいんですか?」「えっへっへ、要りません」なんて言うと、「この野郎、代議士出んじゃねえか」って思うもんね。

だから堂々と要求したって構わねえんだよ。ただ問題は、裏口に入れたということが教師として問題なんだよな。でも、裏口という枠を決めたのは教師でもないんだから。学校なんだよ。でしょ?裏口入学の枠を決めたのは。それが証拠に、学校側が訴えたんじゃねえんだから。生徒が訴えたんじゃねえんだから。生徒のおっかさんが来て、「ねえ、なんだか知らないけど、学校入れてくれるって言って、うちから50万持ってかれちゃったんだよ。全然入れてくれないじゃないか」と訴えたんでもなし。また学校側で「学校に内緒で、何々先生は裏から入れたんですね、けしからんですよ」って言ってんじゃないんだから。全然分かんねえ第三者がギャアギャア言ってんだから。税務署が文句言ったのは脱税行為があったからだからね。ありゃ職権上綾つけただけでもって、別に道義上で言ってるわけでもなんでもないんだよ。

当然だもん、大学なんて今、授業料と入学金で養ってるんだから。金がねえんだから、あれ。金がねえからね、困ってるところへ、金持ちの親が来てさ、「あのー、金がねえか?金ほしいか?うちのガキ入れてくれるか?金やるぞ?」ってこう言ってんだろ。と、学校のほうも学校のほうで、「バカ入れてえか、バカ?大学へ入りてえか?金持ってこ」とこう言ってるわけだから。両方損得ない。プラスマイナスゼロだから、訴えるわけねえんだよ。もっと分かりやすく言やあ合法的に「和姦」だ、これはね、うん。このほうが分かりいいだろ。訴えるわきゃねえんだ、和姦てのは。両方合意の上なんだからね。

だから、第一ねえ、日大なんてのは企業じゃねえか、早い話が。日大株式会社だろ。企業の本質ってのはいかに利潤をあげるかってことなんだからね。だったら、頭がよくて銭のねえ奴より、頭が悪くても金持ってくんのを入れんのは当たり前じゃねえか。だから、どんどん金持った奴から順に放り込めばいいんだよ。試験なんかちゃんと領収書置いといて、入れた奴からちゃんと判子押してやりゃあ…。

それじゃあ学校のつまり教育のだな、なんてえのかな、学問のどうのこうのというのはどうなるんだという問題があったらだよ。裏口入学を設けて、頭のいい奴だけ裏からそーっとロハで入れてやりゃいいじゃないか。「おめえ、頭がいいんだろ。こっち来い。そーっと裏から入れてやるから」。んで、裏口入学やってやりゃいいじゃないか。そのほうがよっぽどいいよ。

そうすりゃガタガタ言わないよ。だいたいね、こうね、「成田空港反対!」ってどうのこうの喧嘩しに行く奴はね、ありゃ頭のいい奴がやるんだからね。頭の悪い奴ぁ金持ってりゃこんなことしないもん。金がありゃあ。貧乏学生がやんだ、あんなもの。銭がありゃあ、女の子引っかけてたほうがよっぽど面白いもんね。そいつらがガタガタ「授業料値上げ反対!」なんつったら、「何言うんだ、おめえ、裏から入ったくせしやがって、この野郎」。ていうことで解決すんじゃないの、俺知らないけどね。

良いこと言ってんだけど、割に反応がないんだ、俺たちの意見ってのは。笑いに誤魔化されちゃうから。まあいいや、そりゃしょうがねえや、職業柄、諦めるけどね。」

Thursday, April 26, 2012

談志の大学談義

隔週発行の『落語の名人』が今回の談志でめでたく最終回を迎えた。



ところで、冒頭の一席「源平盛衰記」を聞いて驚いた。昭和43年4月25日の録音だが、その中で長々と当時の大学を皮肉っている。

この当時からすでに「大学の民主化」は始まっていたのだなあと実感。

家元、「大学はもはやエリート養成機関ではなく、企業になってしまったのだから、親も満足、大学も満足、裏口入学など第三者がガタガタ言う問題ではない」と喝破しておられる(笑)。